大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和41(オ)1287 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人霜山精一、同中島登喜治、同吉岡秀四郎の上告理由について。

論旨は、本件証書について真否の確認を求める訴が許されないとした原判決には

民訴法二二五条の解釈適用を誤つた違法があるという。原判決によれば、本件にお

いて上告人がその真正でないことの確認を求める証書は、貸主D商船株式会社、借

主E食品合名会社、連帯保証人Fおよび同G間の昭和二二年五月一八日付土地貸借

契約書と題する書面であつて、借主および連帯保証人の記名捺印はあるが、貸主と

して表示されたD商船株式会社の代表者の捺印を欠き、上告人ならびに被上告人B

1および同B2間の原判示別件訴訟において、右被上告人らから、E食品合名会社

が本件土地について使用貸借の申込をし、D商船株式会社においてこれを承諾しな

かつたことを証する書面として提出されたものである。しかしながら、右証書の成

立の真正であるか否かが確定されたとしても、単にE食品合名会社が右証書の内容

のような契約の申込をした事実があつたか否かが証明されるにとどまり、本件土地

についての賃貸借契約ないし使用貸借契約の成否、すなわち上告人の本件土地占有

権原の存否について直接の証明がなされたことにはならないのであるから、本件土

地に関する権利関係の争がこれによつて解決されたことになるものではなく、しか

も、上告人ならびに右被上告人らの間においては、すでに前記別件訴訟の判決によ

り、右被上告人らが上告人に対して本件土地につき地上建物収去土地明渡請求権を

有することが確定されているというのであるから、右証書の真否の確認を求める訴

は、その利益を欠き、許されないことが明らかである。また、所論再審もしくは損

害賠償の訴を提起するためには、本件証書が真正に成立したものでないことを確定

- 1 -

する必要はないのであるから、右と同趣旨に出た原審の判断は正当であつて、なん

ら違法の点は認められない。論旨は、るる述べるけれども、ひつきようするに、原

審の認定判断を経ない事項をもあわせ主張しつつ、独自の見解に立つて、原審の判

断を非難するに帰するものであつて、採用するによしない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 草 鹿 浅 之 介

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

裁判官 色 川 幸 太 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!